園芸学研究
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育種・遺伝資源
果実光沢が優れる‘きゅうり中間母本農6号’の育成とその特性
坂田 好輝杉山 充啓吉岡 洋輔小原 隆由吹野 伸子森下 昌三下村 晃一郎小島 昭夫野口 裕司
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2012 年 11 巻 2 号 p. 165-171

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抄録
果実の光沢に優れ,全身に毛がない新しいタイプのキュウリ,‘きゅうり中間母本農6号’を育成した.これは,North Carolina州立大学から導入した無毛性のNCG 90に,わが国の節成型実用品種‘翠星節成’を4回連続戻し交雑し,光沢性と果実形質をもとに選抜・固定した系統である.‘きゅうり中間母本農6号’はブルームレス性のため,果実の光沢は優れる.果実表面にイボ・トゲがなくスムーズであり,また,苦みもなく,食味は良好である.主枝および側枝に着果する.わが国の一般的なキュウリ品種に比べ,果実はやや太めである.果皮は緑色で斑紋はなく,成熟期には黄緑色になる.また,茎葉には毛がなく,無毛性である.ブルームレス性で果実光沢に優れる特性は,無毛性の多面発現と考えられ,単一の劣性遺伝子により制御されていると推定される.本中間母本は,果実光沢に優れるブルームレス性キュウリ品種育成のための育種素材である.さらに,果実表面にトゲやイボがないことから,洗いやすく衛生的なキュウリ品種の育種素材としての可能性を有する.
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© 2012 園芸学会
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