抄録
胃の腸上皮化生粘膜の成熟度について,その機能である吸収機能を中心に研究し,これにmicrovilliの形態およびオレイン酸の負荷による検討を加えた. その結果,不完全型腸上皮粘膜においては未熟なmicrovilliが腺窩部より頂部にかけて広く分布しているのに対し,完全型腸上皮化生粘膜においては未熟なmicrovilliは腺窩に限局し,頂部を中心に成熟したmicrovilliが分布していることがわかった. さらに,in vivoおよびin vitroにおいてオレイン酸を負荷した実験では,完全型腸上皮化生粘膜においては,不完全型腸上皮化生粘膜よりも広い範囲にオレイン酸の吸収を認め,固有層へも吸収されていることを認めた.ALP染色法で検討するとALP陽性に染色される範囲よりも広い部位に脂肪吸収が認められた.