日本消化器内視鏡学会雑誌
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原著
高齢者におけるbridge to surgery目的の大腸ステント留置術の有用性と安全性
佐野村 洋次 東山 真渡邉 千之古川 潤一平野 ななみ網岡 祐生益田 啓志齋藤 裕平小道 大輔相方 浩平本 智樹佐々木 民人平賀 裕子北本 幹也三口 真司池田 聡
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2025 年 67 巻 7 号 p. 1255-1263

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抄録

【背景・目的】閉塞性大腸癌に対するbridge to surgery(BTS)としてのステント治療は高齢者で増加しているが,その治療成績の報告は少ない.今回,高齢者におけるBTS目的の大腸ステントの有用性と安全性について検討した.

【方法】BTS目的に施行した大腸ステント85例を75歳以上の高齢者群38例と75歳未満の非高齢者群47例の2群に分け,治療成績について解析した.

【結果】大腸ステント留置成功率は高齢者群97.4%,非高齢者群97.9%,閉塞解除成功率は高齢者群100%,非高齢者群97.9%であり,穿孔や再閉塞などの偶発症は認めなかった.ステント前CROSSは高齢者群1.8±1.7,非高齢者群1.5±1.7,ステント後CROSSは,高齢者群3.9±0.3,非高齢者群3.8±0.7であり,両群ともステント留置により速やかに閉塞症状が改善した.予後推定栄養指数は高齢者群,非高齢者群ともにステント時と外科手術時で同様であった.

【結論】高齢者に対するBTS目的の大腸ステントは安全に施行可能であり,緊急手術を回避し外科手術までの栄養状態維持に貢献すると考えられた.

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