Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ミニレビュー(日本語)
遊離糖鎖生成機構の解明
黄 澄澄
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2025 年 37 巻 217 号 p. J22-J25

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抄録

糖鎖は通常タンパク質や脂質に結合し、その分子の物理化学的および生理学的性質に大きな影響を及ぼすことが知られている。一方、他の生体分子と結合しない、いわゆる“遊離糖鎖”というものも存在する。構造上N型糖鎖と類似した遊離糖鎖(遊離N型糖鎖)は哺乳動物細胞の細胞質から検出され、その代謝機構は徐々に解明されてきた。一方で、近年遊離糖鎖はさまざまな動物の血清にも見出されている。これらの“細胞外”遊離糖鎖にも遊離N型糖鎖は存在するが、細胞内のそれと比べて異なる構造的な特徴を持つことから、生成経路が異なることが示唆されている。さらに、血清遊離糖鎖は遊離N型糖鎖に加えて、シアリルラクトース/N-アセチルラクトサミンをコアに持つ遊離糖鎖も同定されている。この総説では、哺乳動物細胞および動物血清における遊離糖鎖の生成機構に関する最新の知見を紹介したい。

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