2025 年 29 巻 1 号 p. 57-64
現行のロングレール管理では,レールのふく進等により付加されるレール軸力の温度換算値である換算付加温度を用い,敷設後の中立温度を更新することでレール軸力を管理している.一方で,このような管理下においても軌道の著大通り変位は発生しており,この原因として,敷設後の中立温度の経時変化により,想定以上のレール軸力が発生している可能性が考えられる.本研究では,中立温度の変化特性を把握するため,ふく進量の変化を軌道構造に着目し分析するとともに,ロングレール区間でレール軸力とレール温度を敷設時より長期間測定した.その結果,ふく進の要因と考えられる項目について影響の大きさを定量的に確認した.また,今回対象とした条件では,中立温度の経時変化により想定以上のレール軸力が発生している可能性は低いことを確認した.