2025 年 29 巻 1 号 p. 132-138
現行のレール探傷で実施されているレール頭頂面からの超音波探傷ではレール底側部が探傷不能領域となる問題がある.そこで,レール底側部に発生した欠陥を検知可能な手法として,レール底側部の上方に設置した非接触式センサによって欠陥の有無による漏洩磁束の変化を検知する新たな探傷システムを提案し,室内試験による基礎検討を行った.レール頭頂面にレールに印加する磁場を発生させるためのコイル,レール底側部の上方に磁場を測定するための磁気センサを設置し,レール底側部に加工した人工欠陥周辺での磁気センサの出力を評価した.その結果,レール締結装置がない場合,磁気センサの出力の変化によって欠陥の有無や欠陥形状を判別できる可能性が示唆された.また,レールをレール締結装置で固定した場合についても,磁気センサの出力の変化によって欠陥の有無を判断できる見通しを得た.