2024 年 28 巻 1 号 p. 25-33
地域鉄道が自然災害で被災し,鉄道路線としての復旧もしくは交通モード転換の意思決定が行われるまでに時間がかかる場合が多い.本研究では,沿線自治体からの支援金を得ながら運行がなされている名鉄蒲郡線について住民アンケート調査を実施し,仮に蒲郡線が大きな被害を受けた場合の,復旧費用負担についての意識と,鉄道に関する様々な考えとの関連を分析した.その結果,同じ蒲郡市内でも,沿線と非沿線の住民同士では鉄道維持に対しての考えに有意差がみられること,種々の施策には賛意を示しつつも被災時の地元負担には消極的な意見が多いことなどを指摘した.住民の意向を踏まえた鉄道の事業継続について,防災や復旧という観点を交えながら考察した.