2024 年 28 巻 1 号 p. 168-175
鉄道高架橋の振動特性(固有振動数,減衰定数)は,高架橋の地震時挙動を把握するために重要である.この振動特性は揺れの大きさに応じて変化する振幅依存性を示すことが知られている.本検討では,実物大の模擬設備である3連の1層ラーメン高架橋群に多数の加速度計を設置し,常時微動観測と地震観測を実施した.観測結果を整理することで,当該高架橋の振動特性とモード形状を推定するとともに,これらの振幅依存性を確認した.その結果,当該高架橋は橋軸方向に構造物一体となって振動し,橋軸直角方向には高架橋群の片側が大きく振動するモード形状を有し,これらのモード形状は,微動(0.01gal)~地震動(数10gal程度)の振動の範囲では概ね同様であることが分かった.一方で振動の振幅が大きいほど,固有振動数は減少し,減衰は増大することを確認した.