2024 年 28 巻 1 号 p. 160-167
設計地震動の大きさの変化が,設計される構造物断面に与える影響を把握するために,鉄道橋りょう・高架橋を対象として,設計地震動を減少させた条件,増大させた条件での構造物の設計を行った.具体的には,対象とする橋りょう・高架橋の耐震設計において「部材断面の決定ケースとなっている照査項目を確認するための地震動」の大きさを変化させるとともに,この設計地震動に対して鉄道構造物等設計標準に基づいて性能を満足する構造物断面を算定した.その結果,今回検討を行った条件下では,「部材断面の決定ケースとなっている照査項目を確認するための地震動」であるL1地震動が変化すると,柱と杭基礎の断面に大きな影響を与えることを確認した.そのため,当該地点のL1地震動の大きさやL1地震時の構造物応答値,限界値等を精査することで,建設される構造物の合理化が期待される.