感染症学雑誌
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1996年から1997年2月までに岩手県で分離した腸管出血性大腸菌O157: H7のゲノタイプ分析
根本 優子小林 昌彦金子 克
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1997 年 71 巻 12 号 p. 1232-1237

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抄録
1996年7月から1997年2月までの間に, 岩手県内で発生した11例の散発例の腸炎患者, および一例の集団感染から分離した腸管出血性大腸菌 (enterohemorrhagic Escherichia coli, EHEC) O157: H7計38株について, 1992年に分離したEHECO157: H71株および0157: NM2株とともにパルスフィールドゲル電気泳動 (PFGE) を行い, ゲノタイプを比較検討した.さらにPFGEパターンによる分類を補足するために, Shiga-like toxin遺伝子 (stx) のゲノムDNAへの組み込み部位をサザンプロット法で解析した.その結果, stx1は2株を除いて約130kbのXbaI DNA断片に存在し, 一方, stx2は600kbから155kbの長さの異なる11のDNA断片に存在し, 組み込み部位が多様であることが明らかとなった.以上の検討から, 岩手県内で分離したEHEC O157: H7は7つのゲノタイプに分けられた.また, 集団感染例の分離株を含めて, 半数のEHEC O157: H7が1992年の分離株と同じゲノタイプであることから, 同タイプの菌株が大迫町, 盛岡市を中心として岩手県内で広がりつつあることが示唆された.
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© 日本感染症学会
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