感染症学雑誌
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CefiximeおよびCefaclor投与による小児咽頭細菌叢の変動
坂田 宏丸山 静男
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1991 年 65 巻 5 号 p. 546-551

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抄録
咽頭・扁桃炎の小児25名ずつに, cefixime (CFIX) を6~10mg/kg/日, cefacior (CCL) を40-50mg/kg/日を3-7日間投与し, 投与前後での検出菌の変動を検出数と最小発育阻止濃度 (MIC) の変化で検討した.
1) 病原性を有する菌の消失率はStmptococcus pyogenes, Haemophilus influenzae, StreptococcuspneumoniaeではCFIX投与群がよかった.CCL投与群ではH.influenzae, S. pneumoniaeが投与後新たに検出された例が3例ずつあった.Staphylococcus aureusではCCL投与群が消失率はよかった.
2) CFIX, CCL投与群とも投与後に正常細菌叢構成菌であるα-streptococcusの検出率が有意に増加した.
3) 抗生剤に耐性を有するグラム陰性桿菌と真菌も軽度増加した.その傾向はCFIX投与群に強かったが, CCL投与群ではHaemophilus spp.が投与後増加した.
4) CFIX, CCL投与群とも投与後に検出されたα-streptococcusは投与前に検出された菌や他の咽頭・扁桃炎の小児から分離された菌よりMIC50は高かった.
5) 従来の報告にあるペニシリン系抗生剤の成績と比較するとCFIXとCCLの咽頭細菌叢への影響は比較的穏やかであると考えられた.
6) 抗生剤投与は正常細菌叢とは異なった細菌叢を形成するので, 適応のない患者への投与は避けるべきと思われた.
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