感染症学雑誌
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腎疾患, 血友病および健常献血者における抗HTLV-Iおよび抗HIV抗体の検討
河野 茂増山 泰治道津 安正宮崎 幸重古賀 宏延横山 一章田浦 幸一原田 孝司山口 恵三泉川 欣一広田 正毅斎藤 厚原 耕平木下 研一郎市丸 道人楊井 正紀辻 芳郎宮本 勉
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1987 年 61 巻 5 号 p. 567-573

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抄録
血友病患者および腎疾患患者さらに健常献血者において成人T細胞白血病 (ATL) や後天性免疫不全症候群 (AIDS) の感染の有無を明らかにする目的で, ELISA法により抗HTLV-I抗体と抗HIV抗体の測定を行った. 抗HTLV-1抗体に関しては, 血友病患者では13例中4例 (30.8%) に, 腎疾患患者では75例中21例 (28.0%) に, また健常献血者では500例中12例 (2.4%) に陽性例を認めた. 抗HIV抗体の測定には, AbbottとLittonの両キットを用い比較検討を行った. 両キットによる抗体価には有意の相関が見られたものの, 偽陽性が588例中前者で16例 (2.7%), 後者で5例 (0.9%) にみられた. 抗HIV抗体は血友病患者では13例中10例 (76.9%) に陽性であったが, 腎疾患患者や健常献血者では, まったくみられなかった. また抗HIV抗体陽性例では陰性例に比し, OKT4/8比は0.86と有意の低下がみられた.
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© 日本感染症学会
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