抄録
血友病患者および腎疾患患者さらに健常献血者において成人T細胞白血病 (ATL) や後天性免疫不全症候群 (AIDS) の感染の有無を明らかにする目的で, ELISA法により抗HTLV-I抗体と抗HIV抗体の測定を行った. 抗HTLV-1抗体に関しては, 血友病患者では13例中4例 (30.8%) に, 腎疾患患者では75例中21例 (28.0%) に, また健常献血者では500例中12例 (2.4%) に陽性例を認めた. 抗HIV抗体の測定には, AbbottとLittonの両キットを用い比較検討を行った. 両キットによる抗体価には有意の相関が見られたものの, 偽陽性が588例中前者で16例 (2.7%), 後者で5例 (0.9%) にみられた. 抗HIV抗体は血友病患者では13例中10例 (76.9%) に陽性であったが, 腎疾患患者や健常献血者では, まったくみられなかった. また抗HIV抗体陽性例では陰性例に比し, OKT4/8比は0.86と有意の低下がみられた.