2022 年 31 巻 1 号 p. 11-14
もやもや病は脳底部に異常血管網の発達を認める脳血管疾患であり,脳出血や脳梗塞のリスクを有している.もやもや病と腹部大動脈瘤の合併は検索し得る限りでは認められず,もやもや病を合併した腹部大動脈瘤の最適な周術期管理は確立されていない.今回われわれは脳血流を調整するとされる複数のパラメーターを監視しながらステントグラフト内挿術を施行することで,周術期の脳血管イベントを防ぎ得た.もやもや病を合併した腹部大動脈瘤に対してステントグラフト内挿術は有効な選択肢となり得ると思われたので報告する.