2021 年 30 巻 2 号 p. 101-107
上腸間膜動脈(SMA)は大動脈弓部分枝以遠において最も重要な動脈であり,急性虚血に対しては迅速に診断し,的確に治療を行う必要がある.SMA虚血に属する,あるいは関連する病態には,急性SMA塞栓症,慢性SMA虚血,大動脈解離に伴うSMA灌流障害,孤立性SMA解離,SAM,非閉塞性腸管虚血,腸間膜静脈血栓症などがある.2017年ESVSから腸間膜動静脈疾患に関するガイドラインが発表され,2019年日本血管外科学会から翻訳版が出たので,この内容を紹介しつつ,解説する.大動脈解離に関しては,ESVS下行胸部大動脈疾患ガイドラインを参考にして記述する.