2020 年 29 巻 5 号 p. 329-332
下腿潰瘍を伴う下肢静脈瘤に対して血管内焼灼治療を施行した後で膝窩静脈深部静脈血栓症を併発すれば,静脈鬱滞は顕著で下腿潰瘍は難治性である.抗凝固療法を施行しながら圧迫療法と運動療法で4カ月後に完治した症例を経験した.症例は62歳男性,緊急止血治療を要した出血性胃十二指腸潰瘍と,ステロイド内服中の気管支喘息,糖尿病,慢性腎不全を合併したボディマス指数42.2の超肥満体で,両側下腿多発性難治性皮膚潰瘍を認めた.5カ月前に静脈鬱滞性皮膚潰瘍に対して静脈瘤専門クリニックでラジオ波焼灼術を受けたが,当院受診時には両側膝窩静脈に陳旧性血栓を認め,両側下腿潰瘍は増悪しMRSA感染を併発していた.入院後連日の洗浄と弾性包帯による圧迫療法,適宜創部のデブリドマン,体重減量と歩行運動療法の結果4カ月で下腿潰瘍は完治して退院した.下腿潰瘍に対しては圧迫療法と運動療法が有効であることを示したので報告する.