創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
特集2 : ケロイドの治療戦略
物理的刺激と炎症の軽減に焦点を絞った
ケロイド治療
小川 令赤石 諭史土肥 輝之百束 比古
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2012 年 3 巻 2 号 p. 82-88

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抄録
肥厚性瘢痕やケロイドは創傷治癒過程での異常が原因で生じる皮膚の線維増殖性疾患であり,慢性的に持続する炎症が特徴的である。文献的考察から,ケロイド・肥厚性瘢痕の局所的因子として,(1)創にかかる周期的な皮膚張力,(2)不適切な湿潤環境,(3)異物反応,アレルギー反応,(4)感染の反復に加え,その後の ⌈炎症の持続⌋ があると考えられた。特に(1)~(4)の原因となる ⌈物理的刺激の軽減⌋ と対症療法としての ⌈炎症の軽減⌋ に重点を置くことにより,現在の治療がどのような目的で行われているか医師も患者も理解しやすくなり,治療が円滑に進むと考えられた。また,われわれが行っている物理的刺激の軽減に関与する治療法として,1. 減張縫合の改善,2. Z形成術,3. Small Wave Incision,4. くり抜き法,5. 皮弁による再建,6. ジェルシートやテープによる創の固定,また炎症の軽減に関与する治療法として,1. 術後放射線療法,2. ケロイドに対する放射線単独治療,3. レーザー治療,4. 副腎皮質ホルモン剤の工夫,について考察した。
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© 2012 一般社団法人 日本創傷外科学会
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