土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
多孔質体中におけるガスの物理的挙動と密度流に関する洞察
ロールストン デニスアルテフォークト アンドリュー
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2003 年 94 巻 p. 3-9

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抄録
自然条件下にある土壌では,重力勾配,温度勾配,圧力勾配などの力が拡散フラックスと関連してガス状汚染物質の消長をつかさどる。本論文では土壌中における移流拡散のガス輸送過程を記述する基礎方程式の各項の仮定について議論する。従来のガス輸送方程式を検証する目的で,砂カラム中の高比重ガス(フレオン-113)の輸送を詳細に調べる実験を行った。風乾した砂カラムの入口を高濃度に保ち,実験中のカラム出入口とカラム内のガス密度(濃度)を連続測定した。その結果,高密度では,水平,鉛直上向き•鉛直下向きの3方向で,フラックスと密度分布が大きく異なることが観察された。この実験結果は,標準的な輸送方程式による数値モデルでは再現できなかった。スリップ流が移流と比べて重要であることがわかったが,それを考慮しただけでは数値計算と実験結果の矛盾を説明できなかった。そこで,質量と運動量フラックスについて体積平均法をミクロスケールに適用することにより,多孔質体中におけるガス状汚染物質の輸送を支配する新しい方程式を誘導した。この方程式による数値モデルは高比重ガスの実験結果を良好に再現できることがわかった。
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© 2003 土壌物理学会
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