2016 年 26 巻 2 号 p. 353-355
呼吸器疾患患者における排便時の呼吸困難の対応として,呼吸法指導,環境設定,食事摂取方法指導,薬物療法等がある.しかし,呼吸器疾患患者における排便時の呼吸困難,酸素分圧の低下に関与する要因の分析や,それらを考慮した姿勢・動作指導法はまだ確立していない.われわれは,排便時にパニック状態に陥った慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease; COPD)患者に対し,排便時のパニックコントロールの緩和を目的に作業療法介入を行った.酸素流量調整に加えて,排便時の姿勢・動作方法を工夫することで,パニック状態に陥ることなく排便が可能になった症例を経験した.