2016 年 26 巻 2 号 p. 326-331
非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation: NPPV)によるマスク装着時において,顔面の痛み,発赤,潰瘍,褥瘡などの皮膚障害を起こす原因の1つにマスクによる外力が挙げられる.我々は,被覆保護材の種類を選択することで皮膚組織に加わる剪断力を軽減し,皮膚障害の発生を減少させられると考えた.そこで5種類の創傷被覆保護材と1種類のマスク用鼻パッドを対象に,NPPVマスク素材との測定摩擦力から摩擦係数を算出し,その他の特徴と合わせて比較検討した.なお,実験装置はJIS K7125(プラスチック-フィルム及びシート-摩擦係数試験方法)を参考に摩擦力の測定を行った.
創傷被覆保護材の種類によってマスク素材との摩擦係数に差が認められ,その選択が皮膚障害発生に関係する可能性が示唆された.より皮膚障害の発生を減らすためには摩擦係数の低い創傷被覆保護材の選択が重要であると考えた.