2016 年 26 巻 2 号 p. 320-322
パーキンソン病(PD)は神経難病の一つで,死因は一般人口と異なり肺炎であるが,咳嗽能力の経年変化に関する報告はみられない.そこで,咳嗽能力の指標であるCough Peak Flow(CPF)の経年変化に影響を与える要因について調べ,間接的なリハビリテーションの可能性を検討した.
対象は,PD患者148名,平均年齢72.1±7.7歳とした.CPFが160[L/分]以下となるまでの期間を被説明変数,スパイロメトリ,口腔内圧,UPDRS,基本動作,ADLを説明変数として,Log Rank検定とCOX回帰分析を行った.
結果は,高齢発症であることと閉塞性換気障害を有すること,協調運動障害が重篤であることがCPFの低下に影響した.
咳嗽時に呼吸補助筋が協調的に収縮しないことにより,有効な咳嗽が起こらないと考えられるため,早期から体幹と呼吸の運動を同調させるような運動療法を行うことが重要と考える.