日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
大量肝切除時の門脈降圧を目的とした脾摘の有用性
瀬尾 智上村 良待本 貴文寺嶋 宏明波多野 悦朗
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2023 年 29 巻 1 号 p. 40-44

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抄録

大量肝切除後の門脈圧亢進は術後肝不全(PHLF)との関連が報告されている.今回PHLF対策の脾摘術を併施し良好な結果を得た3例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.症例1:肝門部胆管癌,右三区域切除(残肝容積35.3%,ICGKrem 0.035).門脈圧は脾摘術で18から11 mmHgまで低下しGrade BのPHLFを認めたが術後40日で退院可能となった.症例2:肝内胆管癌,術前GEM+CDDP後,拡大右葉切除(残肝容積39.3%,ICGKrem 0.059).門脈圧は脾摘術で25から20 mmHgまで低下し重篤な合併症なく退院した.症例3:肝細胞癌・門脈腫瘍栓,右葉切除(残肝容積51.8%,ICGKrem 0.063).PHLFを発症し術後41日目に脾摘術施行.門脈圧は24から17 mmHgに低下し,徐々に状態改善し退院となった.門脈圧亢進症を伴う大量肝切除において,脾摘術による門脈圧調整はPHLF対策として有用である可能性が示唆された.

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© 2023 日本門脈圧亢進症学会
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