日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
巨大肝臓腫瘍を合併した先天性門脈欠損症の1例
田上 真中西 孝之荒木 寛司森脇 久隆
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2023 年 29 巻 1 号 p. 33-39

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抄録

先天性門脈欠損症(congenital absence of portal vein:CAPV)は出生時のマススクリーニングで発見されることがある.本症例は出生時高ガラクトース血症から門脈欠損症を疑われ,1歳時に施行された血管造影でCAPVと診断された.また肝右葉に腫瘍を指摘され,生検から結節性再生性過形成の疑いで経過観察された.なお高アンモニア血症に対しラクツロースが継続投与された.腫瘍は次第に増大し10歳時には右葉塊状となり肝移植の適応が検討されたが,CAPV肝外合併症もあり保存的治療を継続した.肝腫瘍はさらに増大,多血化したため肝癌の合併を疑って23歳で当科精査入院となった.血管造影で門脈は完全に欠損,腫瘍は多血化を確認し肝癌の合併を強く疑った.また腫瘍はすでにほぼ全肝を占めており,生検も困難で,TAE(transcatheter arterial embolozation)も禁忌と思われた.保存的に治療を継続したが,肝不全のため約1年後24歳に死亡した.

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© 2023 日本門脈圧亢進症学会
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