日本集中治療医学会雑誌
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緊急調査報告
2009年豚由来A型新型インフルエンザ(A/H1N1 pdm)による小児重症症例集積報告
志馬 伸朗清水 直樹植田 育也中矢代 真美渡部 誠一平井 克樹阿部 世紀中川 聡
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2010 年 17 巻 1 号 p. 87-95

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抄録
【目的】日本集中治療医学会新生児・小児集中治療委員会の事業として,我が国での2009年豚由来A型新型インフルエンザ(A/H1N1 pdm)流行初期の小児重症症例の集積を試みた。【方法】対象は2009年8~10月にH1N1感染が確認され,ICUで人工呼吸を要した15歳未満の患者について,所定の様式に従い情報提供された。【結果】合計9症例(年齢中央値5歳3か月)であった。Pediatric Index of Mortality-2スコアによる平均予測死亡率15.4%に対し,実死亡率は0%であった。人工呼吸適用理由は5症例が呼吸不全(喘息・気管支炎,肺炎),3症例が意識障害(脳症),1症例が循環不全(心筋炎)であった。2症例で体外式心肺補助を必要とした。全症例でリン酸オセルタミビルが投与され,開始日中央値は発症1日後であった。【結語】今後,さらなる症例集積と統計学的手法を取り入れた追加解析を行い,診断治療指針の確立につながる知見を提示する必要がある。
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© 2010 日本集中治療医学会
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