2015 年 79 巻 2 号 p. 52-60
2100年までのアカイカ(Ommastrephes bartramii)産卵場における餌環境変動を,気候変動に関する政府間パネルの第3次結合モデル相互比較プロジェクト(CMIP3)の複数シナリオに基づく複数モデルのシミュレーション結果を用いて推定した.本種稚仔の餌量(動物プランクトン等)は混合層深度データから間接的に推定した.その結果,21世紀を通じて産卵場は北上し,産卵場の餌量も増加することが示唆された.産卵場での餌量の増加により資源量も増加する可能性はあるものの,温暖化による回遊経路の変化は考慮していないため,現在の主漁場である東北沖での漁獲量変動についてはさらなる調査・検討が必要である.