日本透析医学会雑誌
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原著
ポリウレタン製グラフト (ソラテック®) によるAVGの開存成績とそれに関わる因子の検討
櫻井 洋藤田 広峰水谷 孝明相川 潔澤田 典孝藤本 克博櫻井 恒久
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2020 年 53 巻 12 号 p. 639-647

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抄録

ポリウレタン製AVGの開存成績とそれに関わる因子を後ろ向き検討した. 1次開存と2次開存の他に外科的修正術をアウトカムとした修正1次開存を定義した. 対象は2002年1月から2016年3月までの540例で, 1次開存率は1年35.7%, 2年20.0%, 5年7.5%, 修正1次開存率は1年78.8%, 2年70.4%, 5年55.7%, 2次開存率は1年92.6%, 2年86.0%, 5年74.3%であった. 次に年間平均PTA回数によりPTA未施行群215例, 低頻度群163例, 高頻度群162例に分けた. 低頻度群は高頻度群 (p=0.002) とPTA未施行群 (p=0.002) よりも2次開存率が有意に高かった. 多変量COX比例ハザードモデルで, 2次開存率のハザード比は吻合静脈径が大きいほど有意に低かった (HR=0.626, 95%CI: 0.482-0.813, p<0.001). 当院のポリウレタン製AVGの開存成績を報告したが, それはPTA回数やAVG作製の条件により異なる. 今後もより適正なAVG作製や管理方法の発展が望まれる.

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© 2020 一般社団法人 日本透析医学会
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