2025 年 81 巻 7 号 論文ID: 24-00254
本研究では,災害発生後の緊急対策時に利用される直接目視による建設機械の遠隔操作に焦点を当て,搭乗操作と遠隔操作の作業時間の違いについて実験を行った.実験では,ランダムに配置した固形対象物を油圧ショベルにより指定されたエリアから移動するタスクを設定し,オペレータによる作業時間の計測および動作映像を記録した.取得したデータの定量的な分析により,搭乗操作に比べて遠隔操作は操作時間が長くなることを確認し,その大きな要因が個々の固形対象物を移動させるタスクにおいて作業操作の前に行われる位置決め操作にあることが明らかとなった.これは,従来注目されていなかった知見であり,遠隔操作による作業効率の向上のためには,操作環境や操作インターフェース等の改善の検討において,今後,この点に着目して進める必要が示された.