2024 年 80 巻 1 号 論文ID: 23-00127
本研究は,複数の代表濃度経路や共通社会経済経路に対する複数の全球気候モデルによる気候シナリオを用い,2030~2059年の滋賀県の将来人口変化を考慮した市町別熱中症搬送者数の推計を行い,地域および集団のリスクをそれぞれ総数および10万人あたりにて,対2010年代年平均比で示しリスク変化の大きな地域の特定を行った.また,県全体と市町間の幅,全球気候モデルの違いによる幅,年変動の幅を分析することで気候変動影響評価における不確実性の検討を行った.地域のリスクは,草津市や守山市で高く,甲良町や多賀町で低かった.65歳以上の集団のリスクは米原市や大津市が高かった.また,全球気候モデルにより経年的な傾向に差が生じること,全球気候モデルや気候シナリオ間の幅よりも年変動の方が大きくなる可能性が示唆された.