抄録
自閉症スペクトラム障害(ASD)児は,定型発達(TD)児よりも高い割合で,睡眠障害を患っていると報告されている。ポリソムノグラフィー(PSG)を用いた睡眠分析もなされ,ASD児の睡眠障害が,社会性の障害に関係していることも示されている。睡眠の深さが体動量に影響することから,加速度計による体動の定量化は,簡易な睡眠の評価にも使われている。一方で,ASDの夜間の体動の時間経過パターンに焦点を当てた研究はまだ少ない。筆者らは,夜間の体動の時間経過について,加速度計を用いて,ASD児とTD児の比較を行った。5〜8歳の17人のTD児および17人のASD児がこの研究に参加した。3日分の夜間の体の動きを測定し,2群でその時間経過を比較した。その結果,入眠の開始後から2〜3時間の体動が,ASD児において多いことを確かめた。さらに,体動が多いことは,ASD児の社会的能力の低さと関連していた。