日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
社会性の障害を表す客観定量化した自閉症的表情特徴とそれに対するオキシトシン治療効果の経時変化
山末 英典
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2019 年 30 巻 4 号 p. 168-172

詳細
抄録
オキシトシンによって自閉スペクトラム症の中核症状が治療できるようになることが期待されている。しかし,単回投与ではこれまで一貫して改善効果が認められる一方,反復投与では報告が一貫しなかった。その理由として,オキシトシンを反復投与すると効果が変化することが疑われたが,自閉スペクトラム症の症状を繰り返して評価できるような客観的な方法がなかったため,この疑問を確かめることができなかった。著者らの最近の研究では,対人場面に現れる表情を定量的に解析して評価項目とし,自閉スペクトラム症に関連した表情の特徴がオキシトシンの投与で改善されることについて再現性をもって示すことに成功した。さらにこの改善効果は時間とともに変化することを示し,この経時変化のメカニズムに関する知見とともに,オキシトシンによる自閉スペクトラム症の治療が最適化され開発が進むことが期待されている。本稿ではこの研究成果について概説した。
著者関連情報
© 2019 日本生物学的精神医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top