日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
統合失調症と自閉スペクトラム症発症にかかわるrare variants探索から分子病態解明へ
遠山 美穂尾崎 紀夫
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 29 巻 1 号 p. 12-17

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抄録
近年,統合失調症や自閉スペクトラム症の発症要因として,頻度の低く効果量の大きいrare variantsへの注目が高まってきている。次世代シーケンサーを用いた全エクソーム解析や全ゲノムシーケンス解析が多数行われ,クロマチンリモデリング異常や接合後変異,免疫機能およびグリア細胞の機能不全,microRNAの制御不全などが両者に共通して病態に関与していることが示唆されてきた。一塩基変異の探索において,大量に検出された変異から機能的に意義がある変異へと絞り込む過程は不可欠であるが,その一方で重要な疾患関連変異を見逃すリスクをはらんでいる。これらのデータの知見を最大限に活かすには,同定した変異群の相乗的な効果を評価する解析方法の開発とともに,in vitroin vivoで生物学的に検証されたデータの蓄積および解析への活用が必須である。
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© 2018 日本生物学的精神医学会
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