南九州の立地条件を十分に活用する有機栽培技術として,ダイコンとサツマイモに対する焼酎廃液濃縮液の2作一括施用,ダイコン作付後のサツマイモの畦連続使用栽培,畦間へのエンバク間作を組み合わせた「ダイコン─サツマイモ畦連続使用有機栽培体系」を考案した.そこで有機JAS認定圃場で本体系を実施すると同時に,ダイコンおよびサツマイモの各作付ごとに耕うん,施肥,薬剤防除を行う慣行栽培を隣接する圃場で行い,作物の収量性,養分収支,土壌化学性の変化,線虫害,雑草の発生動向などを4年間にわたり総合的に比較し,本体系の収量性および持続性を検証した.
その結果,本体系でダイコン,サツマイモともに4年間慣行栽培と同等の収量と求められる商品形状を維持することを確認するとともに,養分収支が均衡であり,土壌化学性が長期間安定することを明らかにした.さらに畦連続使用栽培により土壌消毒を行わなくともサツマイモの線虫害は抑制されること,ダイコン作期から継続して畦間にエンバクを栽植することにより,サツマイモ作期において畦間の雑草発生を抑制できることを明らかにし,防除面を含めて収量性および持続性の高い有機栽培体系であることを確認した.