有機農業研究
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【特集】東日本大震災,原発災害と有機農業─第12回北海道大会・全体セッション報告─
原発事故被災地に学ぶ「地域に広がる有機農業」のあり方 ─阿武隈山地・二本松市東和地区の取り組みから─
飯塚 里恵子
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2012 年 4 巻 1-2 号 p. 39-52

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抄録

福島県二本松市東和地区では,有機農業が1990年代から地域で取り組まれている.その東和地区は, 2011年3月11日に東日本大震災と福島第一原発事故に見舞われた.現在,この地区では「災害復興プログラム」が進められている.災害復興プログラムの主な柱は,営農再建と生活再建である.具体的には自主的組織的な放射能測定運動と,座談会やワークショップの開催である.

東和地区では原発事故後も多くの農家は田畑を耕し続けた.その田畑の多くは自給用だった.東和の農家が田畑を耕し続けたことはその後の放射能測定運動の構築につながり,放射能にも打ち勝つ「土の力」を確認することができた.東和地区の復興プログラムは自給的農業を支え,地域農業を支え,地域社会を支えている.

この東和地区での取り組みは,有機農業研究がこれまで議論してきている「地域に広がる有機農業」を考察するうえでも大きな示唆があると考えられる.

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© 2012 日本有機農業学会
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