北海道名寄市内で2009年から2016年にわたって開催された家族参加型有機菜園プログラム(以下,本プログラム)を調査対象とし,その効果について知見を得る目的で,懇談の場における親からのスピーチを計量テキスト分析で解析した.参加動機に関するスピーチは58人の親から64回発せられた(複数年度参加者については初年度分のみを対象).分析の結果,募集案内が園と学校において配布されたことが参加の切っ掛けであること,子どもが農作業をすることで野菜を食べるようになって欲しいこと,本プログラムでの体験がポジティブ感情につながって欲しいことが読み取れた.感想に関するスピーチは79人の親から172回発せられた.分析の結果,畑で野菜の生長を感じながら農作業をしたことにより子どもが嫌いだった野菜を食べるようになったこと,美味しい野菜を収穫できて満足だったこと,このような機会は好評価に値すること,これらのことがポジティブ感情につながっていること,そして指導者と交流できて良かったことが読み取れた.しかしながら,有機菜園に特有の「無農薬」,「無化学肥料」および「自然農法」といったコードが付与されたスピーチは,参加動機においてそれぞれわずか1つずつ存在したのみであった.