抄録
本研究では,愛知県東三河地方の地域鉄道である豊橋鉄道における運行障害発生確率を算定することを目的に,過去の渥美線と市電における運行障害と台風データを組み合わせて解析した。さらにその解析結果を用いて,豊橋市に台風が襲来する前24時間時点において計画運休確率を算出するための推定式を構築した。構築した推定式は,雨起因による警戒基準超過確率の精度は61.3%,風起因による警戒基準超過確率の精度78.5%であった。また運休基準超過確率の精度は雨起因で58.2%,風起因で75.7%であった。雨起因による運行障害に対しては,推定結果に大きなばらつきがあり,使用したパラメータのみでは現象を捉えるのに不十分であることが示唆された。今後は暴風域半径などの新たなパラメータを追加することで,より精度の高い推定式の構築が可能になると考えられる。