2025 年 14 巻 3 号 p. 108-112
症例は17歳男性.両側気胸に対する手術を契機に血管型Ehlers-Danlos症候群(血管型EDS)と診断された.以後気胸を繰り返していたが,いずれも経過観察または胸腔ドレナージのみで軽快していた.しかし今回胸腔ドレナージ後も気瘻が持続したため,自己血による胸膜癒着術を2回施行し気瘻を停止できた.結合組織の脆弱性をきたす疾患特性から侵襲的処置を避ける必要があり,血管型EDSに伴う難治性気胸は治療選択肢が限られるが,侵襲性が低い自己血による胸膜癒着術は安全に行える有効な治療と考えられた.