歯科材料・器械
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原著
ブリッジのセメント合着に関する研究(第2報) : とくに, 軸壁傾斜角度とセメント練和時の練板温度について
俵木 勉
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1986 年 5 巻 2 号 p. 222-231

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抄録
ブリッジのセメント合着時に生ずる浮き上がりに関して, 軸壁傾斜角度とセメント練和時の練板温度の影響について, 検討を行なった.実験には, 小臼歯, 大臼歯, ともに4°から14°まで軸壁傾斜角度を変化させることができる, 当講座で作製した金型を用いた.その結果, 以下のような結論を得た.1)前報で報告した通り, セメントを介在させない場合, 浮き上がり量は軸壁傾斜角度と強い負の相関をもって減少する.しかし, 今回, セメントを介在させると, 8°と10°との間で減少を示すが, そのほかの場合では大きな変化は認められなかった.2)ブリッジ全体の浮き上がり量は, 小臼歯より大臼歯の軸壁傾斜角度に影響されることが認められた.3)小臼歯の軸壁傾斜角度が大きく, 大臼歯の軸壁傾斜角度が小さい場合に, ブリッジの傾きが顕著に認められ, 逆の場合では, そのような現象は認められなかった.4)ADAS No.8に基づいた, 稠度, 被膜厚さ試験では, 練板温度を下げることにより, 著しい稠度の低下, 被膜厚さの減少は認められなかった.しかし, 練和を含めた操作時間を2分と短くすることによって, はっきりと, 稠度, 被膜厚さが減少するのを観察することができた.5)ブリッジにおける浮き上がり量においても, 練板温度を下げることにより, 明らかに, その被膜厚さの減少が認められた.それは, 室温20℃前後, 相対湿度60%ぐらいの通常の診療室の環境では, 室温より5℃〜7℃低い温度が適当と思われる.
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© 1986 一般社団法人 日本歯科理工学会
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