抄録
従来は生産計画において, ロット・サイズなど分割生産の方法を論ずるさいに, 重要な要素の一つである「在庫金利」についてそれが平均在庫量に比例するものとして議論を展開している場合が多い.しかし少なくとも日本や韓国では商習慣として, 購入資材の代金を毎月, ある既定の期日をもって締め, その金額を翌月末などに一括して支払うという形をとるのがむしろ普通である.その場合には, 「在庫金利」は特別な場合を除けば平均在庫量に比例しない.本研究では連続して需要が発生する多製品を, 一つの製造ラインで切り替えながら生産するというモデルをとりあげ, いくつかの前提条件の下で, 在庫金利(キャッシュ・フローに注目して評価したもの)と切替費用の和を最小にする生産計画の立て方を論じ, 一層現実的な問題を分析するときの基礎とすることを目的とする.