抄録
本研究はどのような施策が国家のアントレプレナーシップを高めるのかという研究課題を持つ。研究目的は、言語の多様性と移民の流入が受け入れ国家のアントレプレナーシップに与える影響を実証することである。データはGlobal Entrepreneurship Monitorを使用した。2015年から2019年の5年間、26か国130件のデータにより、変量効果モデルによる重回帰分析を行った。その結果、移民を積極的に受け入れている国は、アントレプレナーシップ意思に負の影響を与えていた。しかし、移民の言語の多様性が高い場合はこの関係が逆転し、移民が増加するほど受け入れ国民のアントレプレナーシップ意思が高くなることも実証した。本研究は移民を受け入れる国のアントレプレナーシップ意思向上のメカニズムを実証し、アントレプレナーシップ研究に理論的貢献をするだけでなく、アントレプレナーシップ政策と移民政策に実務的貢献をする。