安全教育学研究
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女性の視点に立った防災・復興教育のための学習プログラムの開発と実践
― 教員養成女子大学生を対象とした避難所の在り方を考える授業 ―
佐藤 真太郎
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2024 年 23 巻 2 号 p. 25-36

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抄録
本研究は、近年の女性の視点に立った防災・復興の取組の必要性を受け、将来学校教員となる女子大学生が避難所等における課題を認識し、女性の視点及び多様な性別や立場からの視点に立った避難所の在り方について考えることができる教材を開発し、その教材を活用した学習プログラムの教育的効果を検討したものである。具体的には、スフィアプロジェクト等、避難所に関わる基本的な知識を確認した後に、教材を活用した2つの活動を行った。一つは、ホワイトボード2枚を小学校の体育館とプレイルーム(避難生活場所)に見立て、災害発生前(通常時)に、女性の視点及び多様な性別や立場からの視点を意識し、避難所の配置図やレイアウトを考えたり、備蓄品や資材機のカードを確認したりする活動である。二つ目は、災害発生後(非常時)を想定して、市の防災担当者や避難所のリーダーの立場で、カードに記載された避難者を避難所で受け入れ、備蓄品を配ったり、生活のし易さを考慮し、間仕切りをしたりする活動である。これらの活動を、京都市内の教員養成課程に所属する女子大学生を対象に実践し、教育的効果を検討した。その結果、教材を活用した活動を通して、女性の視点に加え、既存の知識を活用しながら、様々な人たちの様子を想像し、避難所の在り方について考えを持つことができることが示された。また、スフィア基準が判断の根拠の一つとなることなどもわかった。さらに、避難所の運営については、事前に考えを持っていることが必要であり、そのために、防災・復興教育の一つとして、女性の視点から避難所の運営について考える教育を実施することの意義を示すことができた。
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