地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
総説
年輪年代学的手法による火山活動の年代決定
星野 安治及川 輝樹
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 117 巻 12 号 p. 663-670

詳細
抄録
本論では,年輪年代学の概要を解説するとともに,年輪年代学的手法による火山活動の年代決定について現在までの研究の到達点と問題点を整理し,年輪から火山活動の情報をいかに引き出すかについて議論する.これまでに,火山活動に伴い埋没・枯死した樹木の年代決定法や大規模噴火による半球・全球規模の気候変動に伴う年輪変動を利用した方法はほぼ完成している.一方,噴火の影響を受けながらも生き残った樹木の年輪変動を利用した年代決定法には改良の余地がある.年輪年代学的手法は,高い時間分解での火山活動史の解明に強力なツールとなるが,さらなる手法的な改良を加えつつ研究事例を増やす必要がある.またそれとあわせて,樹種的にも地域的にも標準年輪曲線の整備・充実を図ることが,当該研究の発展を促すことにつながると考えられる.
著者関連情報
© 2011 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top