日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸の結節集蔟様病変の臨床病理学的検討
―非結節型の扁平隆起との比較を中心にして―
吉田 行哉松岡 正記早川 和雄福地 創太郎田中 達朗奥田 近夫橋本 光代星原 芳雄海上 雅光
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1993 年 35 巻 8 号 p. 1844-1853

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抄録
 結節集蔟様病変61病変と非結節型扁平隆起131病変を比較検討し,結節集蔟様病変の臨床病理学的特徴につき以下の結論を得た.(1)病変部位は直腸と盲腸に特に多い.(2)病変の大きさは腺腫,m癌,sm癌ともに非結節型扁平隆起の約2倍の大きさを示すが,病変の大きさの割にsm浸潤度は浅い.(3)腺腫成分を伴った癌が多い.腺腫および癌に伴う腺腫成分の組織型は管状絨毛腺腫が多く,この傾向は病変が大きいほど強い.(4)色調は非結節扁平隆起に比し白色のものが比較的多く赤色のものが少ない.特に腺腫でこの傾向が強い.(5)病変が大きくなると丈の高い部分が出現するようになり,組織学的にこの部分に癌やsm浸潤部が認められる.すなわち,本来,水平方向発育を特徴とする結節集蔟様病変は癌化したりsm浸潤をきたすとともに,垂直方向への発育を示して丈が高くなると考えられる.また,結節集蔟様病変の形態を示す腺腫がm癌より少ないことから,結節集蔟様病変の腺腫が見逃されている可能性が示唆される.結節集蔟様病変を径20mm以上のものに限ると腺腫とm癌の頻度の解離はますます顕著になる.20mm未満と20mm以上の病変の占居部位に差はなく,20mm未満の病変も含めると腺腫,m癌,sm癌の順に連続的に大きさが大きくなる.以上のことから,小さくても結節集蔟様の扁平隆起であれば結節集蔟病変に含めるのが妥当と考えられる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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