日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
著しい石灰化を伴った胃平滑筋腫の1例
菊池 学近藤 建大城 宏之横山 功横山 泰久野浪 敏明
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 31 巻 1 号 p. 123-129

詳細
抄録
 症例は40歳男性で,胃集検にて石灰化を伴う上腹部腫瘤を指摘され来院した.腹部に腫瘤は触れず,単純写真で左上腹部に70×50mmの結節状石灰化像がみられた.胃X線検査によりこの石灰化像は胃体中部の胃外性腫瘤によるものと判明した.内視鏡検査では同部の粘膜面は数個の隆起が集合していたが・胃内腔への腫瘤の突出はほとんどなく,色調の変化や出血,潰瘍形成などもみられなかった.生検では正常粘膜のみであった.非上皮性胃腫瘍の診断で,悪性の可能性も考え手術を行った.胃体部後壁に胃外性に発育した灰白色手拳大の硬い腫瘤がみられたが,周囲への浸潤やリンパ節腫脹などはなく,胃切除を行った.病理組織所見は固有筋層に発生し,広範な石灰化を伴った胃平滑筋腫であった.胃外性に発育した粘膜下腫瘍の診断は困難なことが少なくない.本例は著明な石灰化を伴った稀な例であり,存在自体は容易に診断できた.診断上有意義と思われたので紹介する.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top