日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃アニサキス症の臨床的検討
―鹿児島県における678症例について―
山下 行博渋江 正田中 啓三橋本 修治
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1988 年 30 巻 12 号 p. 3092-3098_1

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抄録
鹿児島県において1982年1月から1987年12月の6年間に経験された胃アニサキス症678例について臨床的検討を加えた. 月別発生頻度は2~5月と9~10月に多くみられ,摂取魚類はサバが約73%で圧倒的に多く,ついでイワシ,アジなどであった.年齢性別は30歳代男子に多く,主症状は激しい上腹部痛でほとんどの症例にみられた.摂取より発症までの時間は6~8時間が最も多く12時間までに83.4%が発症していた.アニサキス幼虫の穿入部位は約半数が胃体部から胃角部の大彎側で,複数穿入例も約10%にみられた.内視鏡下に摘出された虫体のうち同定された158例は,アニサキス1型幼虫のみであった.これらの事実のうち,発生のピークが3月と9月であることは鹿児島県に特徴的であった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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