日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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食道静脈瘤破裂症例に対する内視鏡的硬化療法および経回盲静脈的塞栓術の有用性に関する検討
鳥谷 裕真栄城 兼清吉村 茂昭白井 善太郎樋口 恒夫有馬 純孝志村 秀彦小山 洋一中岡 幸一古川 浩徳光 秀出夫Seigo SAKAGUCHI岡崎 正敏
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1988 年 30 巻 12 号 p. 3084-3091_1

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抄録
1983年11月以降食道胃静脈瘤破裂症例に対する緊急治療として内視鏡的硬化療法(EIS)または経回盲静脈的塞栓術(TIO)を導入して以来,41症例に施行したのでその治療成績につき臨床的検討を加え以下の結論を得た. 初回治療による止血率は,出血点が胃小彎または胃穹隆部に認められた症例では43%であり,食道胃接合部より口側に認められた症例の90%に比べ不良であった.また,食道・胃静脈瘤を内視鏡的形態からI型(食道静脈瘤のみの症例),II型(食道静脈瘤と胃小彎静脈瘤が連続する症例),III型(胃穹隆部に孤立する巨大な静脈瘤を有する症例)に分類し,各型の初回治療成績を検討すると,EIS単独治療例の止血率は1型(100%)>I型(77%)>III型(57%)の順であったが,EISおよびTIO併用例ではII型・III型ともに100%であった.以上の成績から,食道静脈瘤よりの出血症例ではEISが有効であるが,胃静脈瘤よりの出血例ではEIS単独治療に頼ることなく,TIOの併用も試みるべきであろうと思われた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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