抄録
巨大すう襞症の生検組織学的研究の現状をみると,現在の生検鉗子が不十分であることにより,正確な判断がされていない.そこで,われわれは,内視鏡的に巨大すう襞症と診断した7症例にOttenjanの方法に準じたSnare biopsyを施行し,12~43mmの大きさの生検組織を採取した.全例において,粘膜下組織までの深さの標本が得られていた.生検組織学的に,巨大すう襞症の成因は,1例に単純性肥厚はみられたが,他の症例においては,粘膜の肥厚はみられず,粘膜下層の腫大が,その成因と考えられた.Snare biopsyにより採取した生検組織は,挫滅も少く,生検施行時の疼痛,出血などの副作用もみられなかった.また,生検による潰瘍も7日~2週間にて完全に消失した.