日本消化器内視鏡学会雑誌
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Histamine H2 receptor antagonistによる胃潰瘍の治癒過程の内視鏡的・組織学的検討
佐藤 正伸狩野 敦長沢 茂折居 正之神谷 亮一永塚 健斉藤 裕加藤 博巳海藤 勇
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1984 年 26 巻 6 号 p. 816-827

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抄録
 histamine H2 receptor拮抗剤であるシメチジン,ラニチジン,YM-11170を投与した胃潰瘍の治癒過程を従来の抗潰瘍剤投与例を対照として内視鏡的,組織学的に対比検討した.histamine H2 receptor拮抗剤投与例では,従来の抗潰瘍剤投与例に比し,内視鏡的には潰瘍の縮小形態が不均一なことが多く,治癒期において潰瘍底の菲薄化,底の凹凸が高頻度にみられ,潰瘍周辺の発赤は不規則で弱いものが多く,発赤の所見は瘢痕部においても同様であった.また,潰瘍周辺の隆起も高頻度に認められた.組織学的には,単層の再生上皮,ふさ状の再生上皮及び偽幽門腺には,両群に差を認めなかったが,histamine H2 receptor拮抗剤投与例では,不偏細胞の出現が早く,頻度も多く出現する傾向にあり,腸上皮化生が著明であり,間質の浮腫を認める頻度が高かった.これらの所見は,個々のhistamine H2 receptor拮抗剤の種類による特徴的変化ではなく,histamine H2 receptor拮抗剤投与例での胃粘膜の再生が旺盛なための共通した変化と考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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