日本消化器内視鏡学会雑誌
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アルゴンレーザ光励起によるヒト肝癌固有蛍光の腹腔鏡的観察
井戸 健一堀口 正彦川本 智章上野 規男長沢 貞夫吉田 行雄木村 健広田 紀男
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1983 年 25 巻 1 号 p. 72-76_3

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抄録
 アルゴンレーザ光励起によるヒト肝癌固有蛍光の腹腔鏡による観察を行った.肝細胞癌5例のうち3例に,腫瘍に一致して周辺より強い固有蛍光を認めた.蛍光は腫瘍の一部にみられ,全体にみられるわけではなかった.肝硬変4例の結節には1例を除いて固有蛍光を認めなかった.固有蛍光を有する再生結節は,調べ得た範囲では肝癌ではなかった. 一方,剖検肝癌標本の割面のレーザによる観察を行った3例は,全例に腫瘍に一致した境界明瞭な強い固有蛍光が認められた.また癌以外に,肝被膜,肝の線維,脈管壁ににも蛍光が認められた. 腫瘍のどのような物質が蛍光を発するのか,癌と他組織の蛍光が同じ波長か否か不明であるなどの制約はあるものの,レーザ腹腔鏡は肝表面の微小な癌の診断に有用な補助手段となりうるものと思われた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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