抄録
内視鏡全般の診断精度向上のために,斜視型(GIF-K2M,最高倍率10倍)と直視型(GIF-HM-20,最高倍率20倍)の2種の拡大内視鏡を試作し,色素法下に試作拡大内視鏡と従来の拡大内視鏡の観察能を種々の胃・十二指腸疾患に用いて,初回検査使用への可能性について検討した. GIF-K2Mはやや低倍だが,直視型に比して操作性は容易で,通常観察から拡大観察までできる内視鏡として,初回検査に十分使用可能であった.GIF-HM-20は視野を広角にし,倍率を20倍とやや低くし,ルーチン検査にも応用しやすいようにしたが,挿入困難例が少数あり,焦点合せも幾分難しく,初回検査にはやや不適当であった.今後ルーチン検査に応用するには15倍前後の拡大率をもつ斜視型の内視鏡の開発が望まれる. 胃癌,胃潰瘍,胃びらんなどの性状診断,十二指腸絨毛の観察には10倍前後の拡大率で観察可能であったが,微細な拡大模様像の観察には20倍以上の拡大率が必要であった.また,色素法の併用は病変の拾い上げ能を高め,拡大観察時の焦点合せが容易となり,診断精度向上のために有用な方法であった.