抄録
われわれは,球後部潰瘍の診断と経過観察について,細径型panendoscopeがたいへん有用であることを,報告してきた.日常外来で遭遇する球後部潰瘍の大多数は,臨床症状や治癒において,球部潰瘍と比較してさほど差位がないと理解して,球部潰瘍と同じ方針で取り扱っているのが現状であろう.しかし著者らが経験した球後部潰瘍24例についてみると,10歳代の4例と80歳代の3例については,臨床症状や経過予後において,他の年代にくらべ特異的であった.そこで今回は,初発時期が高校受験前後の男性で,症状が激しく,かつその予後が悪かった10代の若年者球後部潰瘍4例について報告するとともに,その治療に細心の配慮が必要であることを強調した.