日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃潰瘍を併存した早期胃癌例の検討
布施 好信内藤 英二福田 新一郎岡田 勝弘須藤 洋昌児玉 正瀧野 辰郎郡 大裕
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1982 年 24 巻 4 号 p. 641-648_1

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抄録
 過去20年間の早期胃癌切除例267例中,胃潰瘍(または瘢痕)併存例(以下併存群と略す)44例(16.5%)について,潰瘍非併存例(以下コントロール群と略す)と比較検討した.併存群は50歳代の男性に多く,その癌巣はコントロール群に比べ陥凹型,なかでもIIc+III型病変が多かった.また深達度m癌が多く(63.6%),癌巣も3.9cm以下の比較的小さいものが90%を占め,コントロール群との間に有意差を認めた.組織型では両群間に差がなく分化型腺癌が多かった.癌と潰瘍の位置関係では癌が肛側にある例が75%を占め,2病変の組み合わせでは癌が前庭部,潰瘍が胃角部にある例が43.2%と最も多かった. CMA分類による癌占居部位の検討では併存群ではA領域に多く(50%),逆にコントロール群ではM領域に多かった(63.6%).また癌巣の背景胃粘膜をみると,両群とも幽門腺領域に多く,癌巣周辺の腸上皮化生の程度は併存群の方が有意に軽かった.胃液酸度は併存群,なかでも開放性潰瘍併存群で高酸を示し,コントロール群との間に有意差を認めた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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